DOHaDとは わかりやすく

DOHaD先生に聞く

お母さん
今日はよろしくお願いします。DOHaDについて教えていただけると聞いて楽しみにしていました。実はこの子は低出生体重児で生まれたんですが、低出生体重児はメタボになりやすいと聞いて心配していたんです。インターネットとかで調べてみてDOHaDという言葉を知ったのですが、なんだか私には難しくて…
DOHaD先生
最近は小さく生まれた赤ちゃんが元気にNICUを退院することが当たり前になってきましたので、将来メタボになりやすくなるなんて聞いたら、不安になってしまいますよね。わかりました。今日はとにかく、DOHaDについてなるべく簡単にご説明しましょう
お母さん
まず、ひとつ気になっていたのですが、DOHaDってそもそもなんて読むんですか?
no name
そうですよね。まず読み方がわかりませんよね。これは「どーはっど」と読むんですよ。DOHaDはDevelopmental Origins oh Health and Disease の頭文字をとった言葉で、残念ながら良い日本語訳が無いんです。
お母さん
へー。「どーはっど」って読むんですね。でもこれって簡単に言うとどういう意味なんですか?
DOHaD先生
「DOHaD」はすごい簡単に言うと、その人の大人になってからの体質は、お母さんのお腹の中や生後早期の環境の影響を受けて変わりますよ、ということなんですよ。
お母さん
その…体質と言うと、例えば具体的にはどのようなことでしょうか?
DOHaD先生
例えば病気になりやすいかどうかです。低出生体重児がメタボになりやすいことは比較的有名ですが、それ以外にも慢性腎臓病とか発達障害とか、特定の癌とか、精神疾患とか、不妊症とか…。かなり多くの病気のリスクが子宮内や生後早期の環境の影響を受けて決定されることがわかってきているんです。
お母さん
え?そうなんですか…。メタボだけの話ではないんですね。
DOHaD先生
そうなんです。しかももっと言えば、病気のリスクだけではないんですよ。例えば太りやすい、太りにくいとか、怒りやすい、くよくよしやすいなどの性格とか、病気ではないその人の性質や特徴までもが、実はある程度この時期の環境の影響を受けていると考えられているんです。しかもこれ、低出生体重児に限った話ではないんです。僕もお母さんも全ての人の体質が、小さい頃までの環境の影響を受けて決定されているんです。
お母さん
そうなんですね…。DOHaDはこの子だけでなく、私にも関係のあることだったんですね。でもそう考えると、この子が私のお腹の中にいるときや、今育っている環境って本当に大切なんですね。
DOHaD先生
そうですよね。でもそれって言い換えれば、この時期の環境をより良いものにすることができれば、その子が将来病気になりにくい 体質になったり、思慮深い優しい性格になれるかもしれない、ということですよ。
お母さん
そっかあ。そうですよね。でも先生、なんでお腹の中や生まれた後の環境で、その人の体質が変わるんですか?
DOHaD先生
その人の体質を決めるのは遺伝子なのですが、その遺伝子の働き方が環境の影響を受けて変化することがわかっています。
お母さん
なるほど。難しいですね……。
DOHaD先生
遺伝子自体はその人が生まれてから変化するものではないのですが、どの遺伝子が働くかは、子宮内や生後早期の環境によって決められるということです。
お母さん
なんとなくはわかってきました。でも、この子が将来メタボになってしまう可能性が高いというのはとても心配だなあ。
DOHaD先生
お子さんが小さく生まれたからといって、極端に心配する必要はありませんよ。低出生体重児が色々な病気になりやすいいうのは事実ですが、それはあくまでも、低出生体重児じゃなかった人と比べてリスクが高いというだけで、低出生体重児でも病気にならない人だってたくさんいるのですから・・・。多くの成人病は、もともと親から受け継いだ遺伝子(体質)とその後の生活習慣によって病気になるかどうかが決まっていると考えられていましたが、今はそれらに加えて子宮内や生後早期の環境も重要であることがわかったという意味なんです。もともとご家族が糖尿病や高血圧、高脂血症などをお持ちの方はご本人もこれらの病気になりやすいことがわかっていますし、過食や運動不足も生活習慣病のリスクを高めますが、子宮内や生後早期の環境もそれと同じなんです。親が糖尿病だからってご本人も糖尿病に必ずなるわけではないのと同じです
お母さん
そう聞いて、少し安心しました。でも実際に低出生体重児で生まれたこの子の子育てとかで気をつけた方がよいことはありますか?。
DOHaD先生
小さく生まれたことは変えようがありませんから、やはりよりよい食習慣や運動の習慣をつけることが大切ですね。特に、低出生体重児は体質として筋肉がつきにくく、体脂肪がつきやすいことがわかっています。定期的な運動習慣をつけて筋肉をつけることができれば、基礎代謝が増えて、生活習慣病になりにくくなりますので、意識して運動させるようにするとよいでしょう。後は、特に生まれた時に相当未熟だったお子さん、例えば出生体重が1500g未満で出生した極低出生体重児などは早期に病気をみつけるために、こどものころから定期的な健康診断をすることをお勧めします。早期に異常を発見できれば、進行を遅らせることができる病気もありますので・・・・。
お母さん
低出生体重児であっても、メタボ予防のためにすべきことは変わらないのですね。この子もそこまでは小さくなかったけど、大人になったら健康診断とかしっかり受けるように言わなくちゃ・・・。先生、今日はありがとうございました。
DOHaD先生
こちらこそ、ありがとうございました。

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