※現役小児科医が教える※月齢によっても異なる赤ちゃんの鼻づまりに関する考え方


鼻づまりは1か月健診でよく聞かれる質問です。


1か月健診では、「鼻がつまっていて寝苦しそう」「いびきみたいな音がする」「音がするのに鼻を吸ってもほとんど何もとれない」というようなことをよく聞かれます。

生後1か月くらいの赤ちゃんは、鼻の通り道がまだとても狭いので、強く呼吸した時、気温差で出る少量の鼻水や乳汁(母乳やミルク)などが奥にあると、容易に鼻がつまっているような音がなってしまうのです。

このような赤ちゃんは、もともと鼻水がたくさんあるわけではないので、鼻水を吸ってあげようと思ってもほとんど何もひけません。

やりすぎてしまうと鼻の粘膜を傷つけてしまうこともあるので、あまりむやみに鼻を吸引することはすすめられません。

鼻がつまっている音がするだけで、特にその他の症状がなければ基本的に問題ない、何もする必要がない場合がほとんどです。

もし鼻の中の見える位置に鼻汁や鼻ごみがあるようなら、綿棒などでやさしく取り除いてあげましょう・・と指導しています。

空気が乾燥しすぎていると鼻づまりの原因になることがあるので、加湿をお勧めすることもあります。

このような理由で聞こえる鼻づまりの音は、成長と共に緩和され気にならなくなるでしょう。

 


赤ちゃんの鼻づまりの考え方には月齢がとても大切


これは鼻づまりに限った話ではないのですが、生後1か月と生後10か月の赤ちゃんでは、同じ症状でも考え方や疑う病気がかなり違います。

基本的に生後数か月は、風邪などの感染症のリスクは低い時期です。

子宮内でお母さんから免疫の力(抗体)をもらっていること、お出かけなど感染症をもらう機会が少ないこと、などがその理由です。

生後1か月くらいの赤ちゃんの鼻づまりの場合、風邪などの感染症である可能性は低く、アレルギー性のものであることはほぼ考えられません。

ただし、風邪をひいている兄弟がいたり、そもそもお母さんが風邪をひいていたり、人の多いところにお出かけしたりなど、感染症をもらう機会があったと推測できるような場合には注意が必要です。

生後最初の数か月はそもそも風邪自体をひきにくいのですが、引いてしまった場合にはこじらせやすいからです。

赤ちゃんは鼻で呼吸しているので、風邪であっても鼻づまりから哺乳力がおちてしまったりしやすいことも問題です。

1-2か月くらいの赤ちゃんの鼻づまりは、もともとの鼻の通り道の狭さの問題なので様子を見てよいことがほとんどなのですが、風邪などに伴って鼻づまりがある場合には要注意と考えなくてはいけません。

そのため、1か月健診で鼻づまりの相談を受けた際には、「ご兄弟はいますか?」「ご家族はお風邪をひいていませんか?」「お出かけなどしていますか?」「他に咳やお熱、哺乳不良などの症状はありませんか?」などの質問をするようにしています。

生後1~2か月の赤ちゃんの鼻づまりで、周囲の状況や他の症状の合併から風邪の疑いが強い場合には、やはり受診を考慮した方が無難です。

あとは、診察所見で感染症が疑われる所見はないかということが重要になります。

逆に、生後6か月くらいから、赤ちゃんはよく風邪をひくようになってきます。

もちろんこれには個人差がありますので、保育園にいっている、年の近い兄弟がいる、などの場合には、より早期から風邪ひきやすい傾向があるでしょう。

このような時期になると、鼻づまりの原因としては風邪などの感染症に伴う場合が圧倒的に多くなります。

花粉症やアレルギー性鼻炎はどんどん低年齢化していますが、それでも1歳未満の赤ちゃんに起こることはあまりありません。

 


鼻づまりに対する対応 


生後1~2か月の鼻づまりは他に症状がなければ経過観察でよい場合が多く、見える範囲にある鼻水をとり除いてあげる程度で十分なことがほとんどです。

風邪に伴う鼻づまりの場合には、鼻汁などを取り除いてあげることが一番です。

医師によって多少考え方は異なるかもしれませんが、感染症に伴う鼻水はとめるより外に出してあげた方が良いのです。

市販の吸引器などを用いて優しく吸ってあげたり、綿棒などで鼻水を取り除いであげるのがよいでしょう。

もちろん症状がひどい場合には、病院を受診しましょう。

鼻水や痰を出しやすくするお薬をもらったり、病院で鼻をすってもらったりできます。

風邪の一部はこじらせたりすることもあるので、そのような状況になっていないかを診察して確認してもらうと安心です。

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